J-OSLER修了要件を完全解説|症例数・病歴要約・講習会すべて網羅
J-OSLERの修了要件6項目を公式資料に基づき徹底解説。7期生以降の120症例・56疾患群・29病歴要約・学術活動・JMECC・講習会・360度評価まで、クリアすべき条件と効率的な進め方がわかります。
「J-OSLERの修了要件、結局何をどこまでやれば終わるの?」
専攻医として研修を始めたものの、修了要件の全体像が見えずに不安を感じている方は多いのではないでしょうか。この記事では、日本内科学会の公式資料に基づき、J-OSLER修了に必要な6つの要件を一つずつ解説します。
iworのダッシュボードなら、120症例・56疾患群・29病歴要約の進捗をリアルタイムで一覧確認。不足している疾患群や未達の要件がひと目でわかるので、修了までの道筋を見失いません。
修了要件の全体像:6つの柱
J-OSLERの修了要件は、2024年度専門研修開始の専攻医7期生 から改訂版が適用されています(専門研修プログラム整備基準 改定第2版)。
修了に必要な要件は次の6つです。
まず、診療実績に関わる3つの要件があります。
- 症例経験(120症例以上・56疾患群以上)
- 病歴要約(29編の作成・評価・Accept)
- 学術活動(学会参加・学会発表/論文)
加えて、研修の質に関わる3つの要件が必要です。
- JMECC受講(内科救急講習会)
- プログラムで定める講習会受講(医療倫理・安全・感染対策)
- 医師としての適性(360度評価)
すべての要件を満たした上で、プログラム統括責任者にJ-OSLER上で「修了認定」を依頼し、承認を得ることで内科専門医試験の受験資格を得ます。
以下、それぞれの要件を詳しく見ていきましょう。
要件1:症例経験(120症例・56疾患群)
症例経験は修了要件の土台です。主担当医として経験した症例をJ-OSLERに登録し、指導医の承認を受けます。
基本ルール
7期生以降の修了要件は以下のとおりです(整備基準 改定第2版に基づく)。
- 主担当医として通算120症例以上 の登録・承認
- 全70疾患群のうち56疾患群以上 の経験
- 各領域で50%以上の疾患群 での経験が必要
- 外来症例 は登録症例の1割まで(最大12症例)
- 初期研修中の症例 はプログラム委員会が認める範囲で最大60症例まで 登録可能
なお、6期生以前(2023年度以前に研修開始)は160症例が必要です。7期生・8期生は移行措置として160症例か120症例かを選択できます。
各領域の最低登録症例数
7期生以降は、各領域ごとに最低限の症例数が設定されました。これが120症例版の大きな変更点です。
最低症例数の合計は約100症例になるため、自由に登録できるのは残り20症例程度 です。6期生以前と比べて自由度が低い分、幅広い領域をバランスよく経験する必要があります。領域別最低症例数の攻略法と3年間のスケジュールは120症例の進め方と疾患群の選び方で詳しく解説しています。
症例登録の注意点
同一症例を複数の専攻医が同一期間に登録することはできません。研修医時代の症例を登録する場合、先輩の専攻医がすでに同じ期間で登録していないか確認しましょう。ただし、担当期間が異なる場合は同一症例でも登録可能です。
症例登録は症例登録の書き方ガイドで詳しく解説しています。効率的に120症例を完了させたい方は120症例の進め方と疾患群の選び方を参考にしてください(6期生以前は160症例版も参照)。
要件2:病歴要約(29編)
病歴要約はJ-OSLER最大の関門です。経験した症例から29編 のレポートを作成し、二段階の評価を経てAccept(受理)される必要があります。
病歴要約の基本ルール
病歴要約は29編を作成し、二次評価でAcceptを得る必要があります。疾患の選び方には以下のルールがあります。
- 29編 の作成・提出が必要
- 29編は全て異なる疾患群 から選ぶ(外科紹介症例・剖検症例のみ重複可)
- 外科紹介症例 :2編(全身麻酔下の手術目的で外科に紹介した症例)
- 剖検症例 :1編(臨床経過を剖検所見と対比して考察)
また、症例の種類によって以下の制限があります。
- 救急症例 :2編(救急搬入または救急外来受診症例)
- 外来症例 は7編以内
- 初期研修中の症例 は14編以内
領域別の提出条件
一部の領域には特別な提出条件が設けられています。
- 「総合内科」は「総合内科I(一般)」「総合内科II(高齢者)」「総合内科(腫瘍)」の異なる領域から各1例、計2例の提出が必要
- 「消化器」は「消化管」「肝臓」「胆・膵」がそれぞれ含まれること
- 「内分泌」と「** 代謝**」はそれぞれ1症例ずつ以上の病歴要約を提出(例:内分泌2例+代謝1例、または内分泌1例+代謝2例)
評価の流れ
病歴要約は2段階の評価を経てAcceptされます。
一次評価(プログラム内評価)では、所属プログラム内の病歴指導医が審査します。指摘箇所があればRevision(差し戻し)となり、修正して再提出します。
二次評価(プログラム外評価)では、日本内科学会が指名する査読委員が審査します。Accept(受理)・Revision(修正要求)・Reject(不受理)のいずれかが返されます。
全29編がAcceptされて初めてこの要件を満たします。査読に時間がかかるため、早めに書き始めること が極めて重要です。
病歴要約の具体的な書き方は病歴要約の書き方完全ガイドで詳しく解説しています。29症例の選び方は29症例の選び方ガイドを参照してください。
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要件3:学術活動
内科専門医には科学的根拠に基づく思考力が求められます。学術活動の要件は「学会参加」と「学会発表・論文」の2つに分かれます。
学会参加
年2回以上、内科系学術集会や講演会に参加する必要があります。対象となるのは日本内科学会本部・支部主催の生涯教育講演会、年次講演会、CPC、内科系サブスペシャルティ学会の学術講演会・講習会などです。
医師を対象としていない学会企画は実績にカウントされないため注意しましょう。
学会発表・論文
筆頭演者または筆頭著者 として、学会発表または論文発表を2件以上 行う必要があります。症例報告でも構いません。学会発表の場合は、J-OSLERの修了認定画面で抄録の写しをアップロードすることが求められます。
初年度から意識して症例報告のネタを集めておくと、3年目で慌てずに済みます。
要件4:JMECC受講
JMECC(Japanese Medical Emergency Care Course)は日本内科学会が実施する内科救急講習会です。シミュレーション研修を通じて、心肺蘇生や気管挿管などの救急手技とチーム医療のトレーニングを行います。
修了要件として受講すること が求められています。所属病院での定期開催を確認し、早めに受講を済ませておきましょう。JMECCの申込方法や当日の流れについては「JMECCとは?内科専攻医が受講すべき理由と申込方法」で詳しく解説しています。
要件5:プログラムで定める講習会受講
各専門研修プログラムで受講が求められる講習会です。特に重要なのが以下の3分野です。
- 医療倫理
- 医療安全
- 感染対策
これらの講習会を年2回以上、いずれかの組み合わせで受講する必要があります。3年間で計6回の受講が目安です。
所属病院の院内講習会のほか、日本内科学会が提供するe-Learning形式の共通講習も受講実績としてカウントされます。院内での開催状況に左右されるため、e-Learningを活用して早めに受講数を確保する のが安全策です。具体的な受講方法と修了証の取得手順はJ-OSLER e-Learningの受講方法で解説しています。
要件6:医師としての適性(360度評価)
指導医とメディカルスタッフによる 360度評価(多職種評価) の結果に基づき、医師としての適性を評価されます。
評価の内容
- 社会人としての適性
- 医師としての適性
- コミュニケーション能力
- チーム医療の一員としての適性
評価の方法
評価は無記名方式 で行われます。統括責任者が各施設の研修委員会に委託し、2名から5名 までの複数職種が評価を実施します。結果は担当指導医が取りまとめ、J-OSLERに登録します。
年に複数回の評価を実施し、複数施設に在籍する場合は各施設での評価が望ましいとされています。
この要件は日々の診療態度が問われるものです。特別な準備が必要というよりも、普段から多職種との良好なコミュニケーションを心がけることが大切です。
修了見込と内科専門医試験の関係
すべての修了要件を完全に満たす前に、内科専門医試験の受験を認める「修了見込」という制度があります(日本内科学会 修了見込について)。
専攻医3年目以降 の1月1日〜3月31日に申請が可能で、以下の基準を満たしていることが条件です。
- 120症例 の登録・承認が完了している
- 指定された29の病歴要約の個別承認 が完了している(一次評価ができる状態)
修了見込が認められると、翌年度の内科専門医試験を受験できます。試験に合格し、病歴要約の二次評価を含むすべての修了要件を達成することで、内科専門医として認定されます。
なお、7期生以降はCOVID-19の特別措置が適用されないため、期限管理がより厳格になっています。計画的に進めましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 6期生以前と7期生以降で何が変わった?
最大の変更点は症例登録数が160→120に減ったことです。ただし、各領域ごとの最低症例数が新たに設定されたため、特定の領域だけで数を稼ぐことはできなくなりました。病歴要約29編・56疾患群の要件は変更ありません。
Q. 初期研修中の症例はどこまで使える?
プログラム委員会が認める範囲で、症例登録は最大60症例まで、病歴要約は14編以内で使用可能です。内科指導医の指導を受けた症例が対象となります。特に剖検症例など、専攻医になってからでは経験しにくい症例は、研修医のうちにデータを保管しておくことをおすすめします。登録に必要な3条件の詳細や具体的な登録手順は初期研修中の症例の条件と登録方法で詳しく解説しています。
Q. 修了認定後の流れは?
6つの修了要件を全て満たした後、J-OSLER上でプログラム統括責任者に修了認定を依頼します。承認されると内科専門医試験の受験資格を得られます。試験は例年5月に実施されます。試験の具体的な勉強法やスケジュールについては内科専門医試験の勉強法|いつから・何を・どのくらいで詳しく解説しています。
Q. 学会発表は何回必要?
筆頭演者・筆頭著者として2件以上です。学会発表と論文発表を合わせて2件以上であれば、その内訳は問いません。学会発表2件でも、論文2件でも、各1件ずつでも構いません。
よくある失敗3パターン
J-OSLER修了要件で専攻医がはまりがちな失敗を3つ挙げます。
❶ 疾患群数だけを意識して領域別最低症例数が未達のまま3年目を迎える
7期生以降は各領域に最低症例数が設定されており、120症例の総数を満たしていても領域ごとの要件が未達では修了できません。特に神経(10症例以上)・感染症(8症例以上)は1年目のローテーション計画の段階から意識しておかないと、3年目に慌てることになります。
❷ 病歴要約を2年目後半まで全くと手をつけずに一次評価でパニック
病歴要約29篇を2年目後半で一気に書こうとすると、品質が下がり指導医の差し戻しが増えます。理想は1年目から書き始め、2年目後半までに個別評価を全篇Accept済みにしておくこと。「症例登録が終わってから書けばいい」という発想が最大の落とし穴です。
❸ JMECC・講習会の受講を先送りして3年目に受講枠が埋まっている
JMECCの開催枠は限られており、3年目になってから申し込もうとしても希望日に受講できないケースがあります。1〜2年目のうちに早めに受講しておくのが安全策です。同様に、e-Learningの共通講習も先延ばしにせず、年度ごとに計画的に受講しましょう。
まとめ:修了要件を計画的に攻略するために
J-OSLERの修了要件は6項目あり、特に 症例経験(120症例・56疾患群) と ** 病歴要約**(29編Accept) が時間と労力の大部分を占めます。
要件を確実にクリアするためのポイントは3つです。
1年目から全体像を把握して動き始めること。 症例登録と病歴要約は並行して進め、学会発表のネタも日頃から意識しておきましょう。
進捗を可視化して管理すること。 56疾患群のカバー状況、各領域の最低症例数の達成度、病歴要約29編のステータスを常に把握しておくことで、終盤の慌てを防げます。iworのダッシュボードなら、症例登録・病歴要約の進捗に加え、JMECC・学会参加・講習会の要件管理もまとめて一元管理できます。修了要件6項目すべての達成状況がひと目でわかるので、「何が足りないか」を確認する作業が一瞬で済みます。具体的な年次別スケジュールと月次チェックリストはJ-OSLER進捗管理の方法にまとめています。
講習会・JMECCは早めに済ませること。 開催時期が限られるため、後回しにすると修了が遅れる原因になります。各フェーズの具体的な締め切りはJ-OSLERの期限・締め切り一覧で時系列にまとめています。