【J-OSLER 7期生・8期生向け】120症例への変更点と対策
J-OSLER 7期生(2024年度)・8期生(2025年度)以降に適用される120症例への変更点を解説。領域別最低症例数の一覧、6期生以前との違い、新要件での効率的な進め方がわかります。
「症例登録が160から120に減ったって聞いたけど、本当?」「領域ごとの最低症例数が新設されたって、具体的に何件ずつ必要なの?」
2024年10月に公開された専門研修プログラム整備基準 改定第2版により、専攻医7期生(2024年度研修開始)以降のJ-OSLER修了要件が大きく変わりました。この記事では、変更点の全体像と領域別の最低症例数、そして新要件での効率的な進め方を解説します。
iworのダッシュボードなら、120症例・56疾患群に加え、領域別の最低症例数の達成状況もひと目で確認できます。「どの領域があと何件足りないか」が自動集計されるので、新要件への対応がスムーズです。
何が変わったのか?改定の全体像
改定の柱は「症例登録数160→120への削減」と「領域別最低症例数の新設」の2つです。日本内科学会は改定の背景として、一部の専攻医にサブスペシャリティ領域への症例登録の偏りが見られたこと、登録数が増えると1例あたりの振り返りが薄まるという指摘があったことを挙げています。
つまり、単に「楽になった」のではなく、「数を減らす代わりに領域バランスを義務化した」という質への方針転換です。
領域別の最低症例数|具体的な数字を確認
7期生以降に適用される領域別の最低症例数は以下のとおりです。これに加えて、従来どおり56疾患群のカバーも必要です。
総合内科(I・II・III合計) は10症例以上が必要です。総合内科I(一般)、総合内科II(高齢者)、総合内科III(腫瘍)のそれぞれから1疾患群以上をカバーする必要もあります。
消化器 は10症例以上、** 循環器** は10症例以上です。この2領域は以前から症例が集まりやすいため、多くの専攻医にとってクリアしやすい要件です。
呼吸器 は10症例以上、** 腎臓** は10症例以上、** 代謝** は10症例以上です。代謝は糖尿病を中心に症例が集まりやすい領域ですが、10症例という数はしっかり意識する必要があります。
神経 は10症例以上で、消化器・循環器と同じ水準です。神経内科のローテーション期間が短い施設では意識的に症例を集める必要があります。
救急 は10症例以上です。救急は4疾患群すべてのカバーが求められます。
感染症 は8症例以上です。感染症領域は以前は最低数の指定がなかったため、新たに注意が必要な領域です。
内分泌 は3症例以上、** 血液** は3症例以上、** アレルギー** は3症例以上、** 膠原病及び類縁疾患** は3症例以上です。これらの領域は最低数こそ少ないものの、疾患群のカバーとあわせて確認しましょう。
合計すると各領域の最低数を足しあわせた数は100症例前後になります。残り20症例程度の「自由枠」で不足する疾患群を埋めたり、サブスペシャリティで使いたい症例を追加登録する形になります。
6期生以前との違いを比較
6期生以前と7期生以降では、いくつかの重要な違いがあります。
まず症例登録数は、6期生以前が160症例以上だったのに対し、7期生以降は120症例以上に変更されました。疾患群数はどちらも56疾患群で変更ありません。
プログラム外症例(初期研修中の症例など)の上限は、6期生以前が80症例まで、7期生以降は60症例までに引き下げられました。外来症例の上限も、6期生以前は全体の1割(最大16症例)でしたが、7期生以降は同じく1割で最大12症例です。入院症例の最低数は108症例以上となります。
領域別最低症例数は、6期生以前には設定がなく、7期生以降で新たに導入されました。COVID-19に伴う特別措置は、6期生以前は適用されますが、7期生以降は適用されません。
なお、7期生・8期生(2024年度・2025年度研修開始)に限り、移行措置として160症例と120症例のどちらかを選択できるとされています。
iworのダッシュボードは120症例の新要件に対応しています。領域ごとの登録数と不足数が自動集計されるので、「あと消化器2件、神経3件」のように具体的な不足が一覧で確認できます。
新要件での効率的な進め方
領域バランスを意識したローテーション計画
120症例に減った分、1症例あたりの振り返りの質が求められる傾向があります。とはいえ、まず重要なのは領域別の最低症例数を確実にクリアすることです。
ローテーション計画を立てる際には、疾患群一覧と領域別最低数を照合しながら、どの時期にどの領域の症例を集めるかを事前に計画しておきましょう。特に神経(10症例以上)、感染症(8症例以上)は、ローテーション期間が限られる施設も多いため、早めに対策を考えておくことが重要です。
不足しやすい領域への対策
サブスペシャリティが消化器や循環器の専攻医は、血液・アレルギー・膠原病などの領域で症例を集めるのに苦労するケースがあります。対策として、自分のサブスペ以外のローテーション中に意識的に該当領域の症例を担当させてもらう、院内のコンサルテーション症例を活用する、連携施設での研修期間を有効活用するなどが挙げられます。
120症例の効率的な進め方の記事でより詳しく解説しているので、あわせて確認してください。
症例登録と病歴要約の並行
症例登録数が減ったからといって、病歴要約に余裕ができるわけではありません。病歴要約29篇の提出・評価は従来どおり必要であり、J-OSLERの最も時間のかかるタスクです。むしろ、症例登録の負担が軽くなった分、早い段階から病歴要約に着手するのが賢明です。
年度別の理想スケジュールを参考に、1年目から症例登録と病歴要約を並行して進めましょう。
COVID-19措置が適用されない点に注意
6期生以前に適用されていたCOVID-19に伴う特別措置は、7期生以降は適用されません。具体的には、修了見込での内科専門医試験受験において、6期生以前は120症例でも受験が認められていましたが、7期生以降はそのような緩和措置はありません。
修了見込の申請には、120症例の登録・承認と29篇の病歴要約の個別承認が完了していることが必要です。詳しい期限はJ-OSLERの期限・締め切り一覧で確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 7期生・8期生は160症例と120症例のどちらを選ぶべき?
移行措置として選択できる7期生・8期生の場合、基本的には120症例を選ぶのが合理的です。40症例分の登録作業が減る分、病歴要約や試験勉強に時間を充てられます。ただし、サブスペシャリティJ-OSLERへの症例流用を多く見込んでいる場合は、160症例を選んで余剰分をサブスペに回す戦略もあります。自分のキャリアプランに合わせて判断しましょう。
Q. 領域別最低数が足りない場合、修了できない?
はい。120症例の合計数を満たしていても、各領域の最低症例数を満たしていなければ修了要件は未達成です。例えば、循環器が9症例で消化器が15症例の場合、合計は十分でも循環器が1件不足しています。進捗管理の際は、総数だけでなく領域別の内訳も定期的に確認することが重要です。
Q. 自己省察の字数は気にしなくてもいい?
改定第2版では、症例登録の「症例の概略」や「自己省察」の記載字数にとらわれる必要はなく、自己省察は1〜2行でも指導医が承認すれば問題ないと公式に示されています。症例登録は効率的に進めて、病歴要約に時間を集中させましょう。
よくある失敗3パターン
7期生・8期生の新要件で専攻医がはまりがちな失敗を3つ挙げます。
❶ 「120症例に減って楽になった」と思い込み、領域別最低数を見落とす
症例総数は160から120に減りましたが、各領域の最低症例数が新設されたため「自由枠」は約20症例しかありません。特定のサブスペシャリティに偏って登録を進めると、神経・感染症・血液などで最低数に達せず修了できないリスクがあります。1年目のローテーション計画の段階から領域別のカウントを意識しましょう。
❷ 移行措置で160症例と120症例のどちらを選ぶか決めずに進む
7期生・8期生は移行措置として両方から選択できますが、途中で変更することは難しいです。サブスペシャリティJ-OSLERへの症例流用を見込んでいるなら160症例が有利な場合もあります。研修開始早期にプログラム統括責任者と相談し、選択を確定させておきましょう。
❸ 領域ごとの進捗を把握せずに終盤に焦る
「全体で100症例登録済み」という状況でも、消化器20件・循環器20件に偏っていて神経が5件しかないと修了できません。総数だけでなく領域別の内訳を常にモニタリングする仕組みを早い段階で作ることが重要です。
まとめ
J-OSLER 7期生以降の最大の変更点は、症例登録160→120への削減と、領域別最低症例数の新設です。「数が減って楽になった」ではなく、「バランスの取れた症例経験が義務化された」と理解するのが正確です。
56疾患群のカバーに加えて、消化器・循環器・呼吸器・腎臓・代謝・神経が各10症例以上、救急が10症例以上、感染症が8症例以上、内分泌・血液・アレルギー・膠原病が各3症例以上――これらを満たさなければ修了できません。ローテーション計画の段階から領域バランスを意識し、進捗管理やチェックリストを活用して漏れなく進めましょう。
J-OSLERの全体像を改めて確認したい方はJ-OSLERとは?を、修了要件の全項目は修了要件完全解説をお読みください。