内科専門医試験 救急・総合内科領域の対策|頻出テーマと勉強法
内科専門医試験の救急・総合内科領域を徹底解説。心停止・ショック・意識障害・薬物中毒など頻出の急性期対応テーマの要点を整理。専攻医が得点するための試験対策を紹介。
「救急対応は臨床で経験があるが試験向けの知識整理ができていない」「ショックの分類と対処が混乱する」「意識障害の鑑別はどこまで覚えれば合格できる?」
内科専門医試験における救急・総合内科領域は、ショック・意識障害・急性中毒・心停止後対応 という急性期対応の基本が試験の中心です。JMECCで学んだ知識をそのまま試験に活かせる領域でもあります。この記事では救急・総合内科領域の試験対策ポイントを解説します。
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救急・総合内科領域の出題傾向
救急領域は内科専門医として初期対応を担う場面が多く、試験でも プライマリケアとして対応できるか が問われます。特にショックの分類と治療、意識障害の鑑別診断は頻出です。
ショックの分類と治療
ショックは 循環不全による組織低酸素 の状態で、分類によって治療が異なります。
ショックの4分類
| 分類 | 代表疾患 | 病態 | 初期治療 |
|---|---|---|---|
| 循環血液量減少性 | 出血・脱水 | 前負荷低下 | 急速輸液・止血 |
| 心原性 | AMI・重症心不全 | 心拍出量低下 | 強心薬・IABP/ECMO |
| 閉塞性 | PE・心タンポナーデ | 機械的閉塞 | 閉塞の解除(抗凝固/穿刺) |
| 血液分布異常性 | 敗血症・アナフィラキシー | 末梢血管拡張 | 輸液+昇圧薬(アドレナリン/ノルアドレナリン) |
心原性ショックで輸液を大量投与するのは誤り です(前負荷をさらに増やして心不全を悪化させる)。また、** 閉塞性ショックでは閉塞解除が最優先** で輸液だけでは改善しません。
昇圧薬の使い分け
ショック管理において昇圧薬の選択は重要な出題テーマです。敗血症性ショック ではノルアドレナリンが第一選択の昇圧薬 です。かつてはドパミンがよく使われていましたが、不整脈リスクが高いことから現在のガイドラインではノルアドレナリンが推奨されています。ノルアドレナリン単独で血圧維持が困難な場合は、バソプレシンを補助的に追加します。
アナフィラキシーと心停止 ではアドレナリン(エピネフリン)が第一選択 です。アドレナリンは筋注(アナフィラキシー)または静注(心停止)で使い、ノルアドレナリンとは使用場面が異なります。試験では「敗血症性ショック→ノルアドレナリン、アナフィラキシー→アドレナリン」の区別が問われます。
意識障害の鑑別:AIUEOTIPS
意識障害の鑑別は AIUEOTIPS という頭文字で体系的に整理できます。
| 頭文字 | 内容 |
|---|---|
| A | Alcohol(アルコール中毒) |
| I | Insulin(低血糖・糖尿病性昏睡) |
| U | Uremia(尿毒症) |
| E | Encephalopathy(肝性脳症)・Epilepsy(てんかん発作後) |
| O | Overdose/Opiates(薬物中毒・麻薬) |
| T | Trauma(外傷)・Temperature(高/低体温) |
| I | Infection(髄膜炎・脳炎・敗血症) |
| P | Psychiatric(精神疾患)・Poisoning(中毒) |
| S | Stroke/Seizure(脳卒中・てんかん) |
迅速血糖測定(低血糖の除外)は意識障害の初期評価で必須です。
急性呼吸不全とARDS
ARDS(急性呼吸窮迫症候群)の診断基準(Berlin定義)
ARDSの診断にはBerlin定義(2012年)を使います。4つの基準すべてを満たす必要があります。第一に** 急性発症**(原因となるイベントから1週間以内)、第二に** 胸部X線/CTで両側性の浸潤影**、第三に** 心原性肺水腫では説明できない呼吸不全**(心エコーや臨床所見で除外)、第四にPaO₂/FiO₂(P/F比)が300mmHg未満(PEEP/CPAP 5cmH₂O以上の条件下)です。
P/F比による重症度分類は試験で頻出です。軽症(200〜300)・中等症(100〜200)・重症(100未満)の3段階で、数値が低いほど重症です。「P/F比=150のARDS患者は中等症」といった判断が問われます。
ARDSの治療
- 肺保護換気: 1回換気量 6mL/kg(予測体重)、プラトー圧 ≤ 30cmH₂O
- 腹臥位換気(Prone positioning): 中等〜重症ARDSで死亡率改善効果が証明
- 早期の積極的輸液は避け、保存的輸液管理が推奨
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薬物中毒の対処
急性中毒の初期対応
- ABC評価(気道確保・呼吸管理・循環確保)が最優先
- 拮抗薬がある中毒: 積極的に使用(麻薬→ナロキソン、ベンゾジアゼピン→フルマゼニル、有機リン→アトロピン+PAM、アセトアミノフェン→N-アセチルシステイン)
- 活性炭投与(服毒1時間以内が有効)
試験に出やすい中毒パターン
- アセトアミノフェン: 服薬24〜72時間後に劇症肝炎発症。初期は無症状で見落としに注意。N-アセチルシステインが解毒薬。
- 一酸化炭素(CO)中毒: 頭痛・悪心・意識障害。COHbが上昇。高流量酸素(100%O₂)が治療。高気圧酸素療法(HBO)の適応を検討。
- 有機リン農薬: ムスカリン作用(流涎・縮瞳・徐脈・気管支痙攣)。アトロピン+PAM。
熱中症の重症度分類
熱中症は I度(軽症)・II度(中等症)・III度(重症) の3段階で分類されます。
- I度: めまい・失神・こむら返り・大量発汗。現場での冷却・水分補給。
- II度: 頭痛・嘔吐・倦怠感・意識混濁。病院での点滴冷却。
- III度(熱射病): 意識障害・40℃以上の高体温・多臓器障害。ICUでの積極的冷却(氷嚢・冷却ブランケット)。
よくある失敗3パターン
❶ 心原性ショックに大量輸液を選んでしまう
ショックの初期対応で「まず輸液」は正しいですが、心原性ショックは例外 です。心不全による心原性ショックに大量輸液を行うと肺水腫を悪化させます。試験では「急性心筋梗塞後のショック→心原性を疑う→強心薬(ドブタミン)+昇圧薬」という判断が問われます。ショックの4分類(循環血液量減少性・心原性・閉塞性・血液分布異常性)ごとの治療方針を区別してください。
❷ 意識障害の鑑別で血糖測定を後回しにする
意識障害の患者が来たとき、最も簡便で最も見逃してはいけないのが低血糖 です。迅速血糖測定は数秒で結果が出るため、ABC確認の直後に行うべき検査 です。試験では「意識障害の初期対応で最初に行うべきことは何か」という設問で、頭部CTや血液ガスよりも先に血糖測定を選ぶのが正解です。
❸ ARDSの人工呼吸で1回換気量を10mL/kgにしてしまう
ARDSの肺保護換気では、1回換気量は理想体重あたり6mL/kg が推奨されます。通常の人工呼吸では8〜10mL/kgを使うことが多いですが、ARDSでは肺傷害を最小限にするために低容量換気が必要です。「ARDS=6mL/kg」「プラトー圧30cmH₂O以下」はセットで暗記してください。
iworの問題演習では、救急の初期対応や鑑別診断を実践的に練習できます。ショック・意識障害・ARDS・中毒の5択問題で得点力を鍛えましょう。
まとめ
救急・総合内科領域で安定して得点するためのポイントを整理します。最優先はショック4分類と治療の違い(心原性への大量輸液は禁忌)と** 意識障害の体系的鑑別**(AIUEOTIPS+迅速血糖が最優先)です。ARDSのBerlin定義と肺保護換気(6mL/kg)、中毒の拮抗薬(オピオイド→ナロキソン、有機リン→アトロピン+PAM)も確実に押さえてください。
JMECCでの学びと重なる内容が多いため、JMECC受講の準備・勉強法と合わせて復習すると効率的です。他の領域の対策は内科専門医試験の勉強法で全体戦略を、試験の出題傾向と対策で各領域の優先順位を確認できます。循環器領域の対策や神経領域の対策と並行して進めると効率的です。
よくある質問(FAQ)
ショックの4分類の初期治療を混同してしまいます。簡単な覚え方はありますか?
「心原性だけは輸液禁忌(増やすほど悪化)」「閉塞性は原因除去が最優先(輸液だけでは改善しない)」という2つの例外を覚えれば、残り(循環血液量減少性と血液分布異常性)は輸液を中心とした対応になります。
ARDSの腹臥位換気はいつ適応になりますか?
中等〜重症ARDS(P/F比 < 150mmHg)で、仰臥位での換気が不十分な場合に適応を検討します。連続16時間のprone positioningが死亡率を改善するエビデンスがあります。実際の適応判断はICU専門医と連携しますが、試験では「重症ARDSの治療選択肢として腹臥位換気がある」ことを覚えておけば十分です。
薬物中毒の問題で最初に確認することは何ですか?
ABCの安定化(気道確保・呼吸・循環)が最優先です。次に「この中毒に拮抗薬はあるか」を確認します。オピオイド・ベンゾジアゼピン・有機リン・アセトアミノフェン・一酸化炭素は拮抗薬または特異的解毒薬があります。それ以外は支持療法が中心になります。