内科専門医試験 内分泌・代謝領域の対策|頻出テーマと勉強法
内科専門医試験の内分泌・代謝領域を徹底解説。糖尿病・甲状腺疾患・副腎疾患・骨代謝など頻出テーマの要点と効率的な勉強法を紹介。専攻医向けに試験対策をわかりやすく解説。
「糖尿病の治療薬が多すぎて使い分けがわからない」「甲状腺疾患はどのパターンで出る?」「副腎疾患は難しそうで後回しにしてしまっている」
内科専門医試験における内分泌・代謝領域は、糖尿病・甲状腺・副腎の3本柱 を体系的に押さえることが合格への近道です。日常診療でも頻繁に目にする疾患群であり、経験がそのまま試験得点に直結します。この記事では内分泌・代謝領域の頻出テーマと効率的な学習法を解説します。
iworの問題演習機能では、内分泌・代謝の5択問題を領域別に演習できます。糖尿病・甲状腺・副腎疾患の苦手分野を自動判定し、重点的に対策できます。
内分泌・代謝領域の出題傾向
内分泌・代謝は出題数が安定していて、特に 糖尿病の問題が最も多い 傾向があります。近年は新しい糖尿病薬(SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬)の臨床エビデンスに関する問題も増えています。
糖尿病の診断と治療
糖尿病の診断基準
試験では診断基準の数値が正確に問われます。糖尿病型と判定する基準は、空腹時血糖126mg/dL以上、75gOGTT 2時間値200mg/dL以上、随時血糖200mg/dL以上、HbA1c 6.5%以上の4つです。
重要なのは確定診断の手順 です。上記のうち1項目だけが陽性の場合は「糖尿病型」にとどまり、確定診断には別日の再検 が必要です。ただし、血糖値の基準(空腹時・OGTT・随時のいずれか)とHbA1cの両方が同日に糖尿病型を示した場合は、1回の検査で確定診断できます。「HbA1c単独では確定診断できない」ことは試験で頻出の引っかけポイントです。
糖尿病治療薬の使い分け
| 薬剤 | 特徴・適応 | 注意点 |
|---|---|---|
| メトホルミン | 第一選択・体重増加なし | 腎機能低下(eGFR<30)で禁忌 |
| SGLT2阻害薬 | 心不全・CKD合併に有効 | 性器感染症・DKA(稀) |
| GLP-1受容体作動薬 | 体重減少・心血管保護 | 膵炎既往に注意 |
| DPP-4阻害薬 | 低血糖少ない・使いやすい | 心不全既往のある場合に注意 |
| SU薬 | 確実な降糖効果 | 低血糖・体重増加に注意 |
| インスリン | 高血糖時・腎不全でも使用可 | 低血糖リスク |
近年の試験では SGLT2阻害薬の心不全・CKDへの有用性 と GLP-1受容体作動薬の心血管アウトカムエビデンス が問われることが増えています。
糖尿病性腎症のステージ分類
第1〜5期の分類と、各ステージでの管理目標(血圧・血糖・タンパク制限)を把握しておきましょう。第3期以降(顕性腎症以降)では腎機能に応じた薬剤調整が必要になります。
甲状腺疾患の鑑別
バセドウ病 vs 橋本病
| 特徴 | バセドウ病 | 橋本病(慢性甲状腺炎) |
|---|---|---|
| 機能 | 甲状腺機能亢進症 | 多くは機能正常→低下 |
| 機序 | TSH受容体抗体(TRAb)が刺激 | 自己免疫性破壊 |
| 症状 | 動悸・発汗・体重減少・眼球突出 | 倦怠感・浮腫・体重増加・徐脈 |
| 治療 | 抗甲状腺薬(MMI/PTU)→放射線/手術 | 甲状腺ホルモン補充(T4製剤) |
甲状腺クリーゼ
甲状腺クリーゼは 生命の危機となる甲状腺機能亢進の極期 です。診断基準(日本甲状腺学会)と治療を整理してください。
- 治療:抗甲状腺薬(大量PTU)+ヨウ素(抗甲状腺薬投与1時間後)+β遮断薬+ステロイド(副腎不全合併時)+支持療法
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副腎疾患の攻略
クッシング症候群
視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸) の知識が問われます。
- ACTH依存性(下垂体腺腫=クッシング病、異所性ACTH産生腫瘍)
- ACTH非依存性(副腎腺腫・副腎癌)
鑑別検査: 少量デキサメタゾン抑制試験(1mg)→抑制されればクッシング以外。抑制されなければCRH試験・大量デキサメタゾン試験で下垂体性か異所性かを鑑別。
原発性アルドステロン症(PA)
高血圧+低カリウム血症 の組み合わせで疑います。アルドステロン/レニン比(ARR)が高値で疑い、副腎静脈サンプリング(AVS)で左右差を確認。
一側性(腺腫)→手術。両側性→MRAで薬物治療。
電解質異常と骨代謝
低ナトリウム血症の鑑別
低Na血症は 血漿浸透圧と尿Na・尿浸透圧 で鑑別します。
- 低浸透圧性低Na → 体液量評価(低下・正常・増加)
- SIADH(体液量正常、尿Na高値、尿浸透圧高値)は試験頻出
骨粗鬆症
骨粗鬆症は内分泌・代謝領域の中では出題頻度が低めですが、出題されれば確実に取れる知識問題が多いです。診断基準は骨密度がYAM比70%未満、または** 脆弱性骨折の既往**がある場合です。
治療薬の第一選択はビスホスホネート(アレンドロネート等)で、破骨細胞の活性を抑制して骨吸収を阻害します。デノスマブ(RANKL阻害薬)も骨吸収抑制薬として使われます。骨形成を促進する薬としてはテリパラチド(PTH類似体)があり、重症例や骨折リスクが高い場合に選択されます。閉経後女性にはSERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)も選択肢になります。試験では「ビスホスホネート=第一選択」「テリパラチド=骨形成促進」の区別を問う問題が出ます。
よくある失敗3パターン
❶ 糖尿病の診断基準で「HbA1c単独で診断確定」と覚えている
HbA1c 6.5%以上は糖尿病型の基準のひとつですが、HbA1c単独では糖尿病の確定診断はできません。確定診断には「血糖値が糖尿病型+HbA1cが糖尿病型」の両方を同日に確認するか、別日に再検査して糖尿病型を確認する必要があります。試験では「HbA1c 6.8%のみの患者は糖尿病と確定診断できるか」という形で問われます。
❷ 褐色細胞腫の手術前にβ遮断薬を先に開始してしまう
褐色細胞腫の術前管理では、α遮断薬を先に開始し、十分なα遮断が確立してからβ遮断薬を追加 する順番が鉄則です。β遮断薬を先に使うと、α受容体を介した血管収縮が増強されて高血圧クリーゼ を引き起こす危険があります。「必ずα→βの順」は試験の定番です。
❸ 甲状腺クリーゼの治療でヨウ素を抗甲状腺薬より先に投与する
甲状腺クリーゼの治療では、まず抗甲状腺薬(PTUまたはMMI)を投与し、少なくとも1時間後にヨウ素を投与 します。ヨウ素を先に使うとJod-Basedow効果で一時的に甲状腺ホルモン合成が促進される可能性があるためです。
iworの問題演習では、内分泌の診断基準や治療手順を実践的に練習できます。糖尿病・甲状腺・副腎の鑑別問題を演習しましょう。
まとめ
内分泌・代謝領域で安定して得点するためのポイントを整理します。最優先は糖尿病の診断基準と治療薬選択(SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬の心血管エビデンス)です。次いで** 甲状腺**(バセドウ病 vs 橋本病・クリーゼの治療手順)と** 副腎**(クッシング症候群の鑑別・PA・褐色細胞腫の術前α遮断)を押さえてください。
他の領域の対策と合わせて学習計画を立てましょう。内科専門医試験の勉強法で全体戦略を、試験の出題傾向と対策で各領域の優先順位を確認できます。腎臓領域の対策や消化器領域の対策と並行して進めると効率的です。
よくある質問(FAQ)
糖尿病の薬剤名はすべて暗記が必要ですか?
すべての商品名を暗記する必要はありません。各薬剤クラスの特徴(特にSGLT2阻害薬の心不全・CKD有用性、GLP-1受容体作動薬の体重減少・心血管保護)と使い分けの原則を覚えておけば大半の問題に対応できます。
クッシング症候群の検査手順が覚えにくいです。コツはありますか?
「まず過剰分泌を証明(少量Dex抑制試験)→ACTH測定で依存性/非依存性を鑑別→ACTH高値ならCRH試験/大量Dex試験で下垂体性か異所性か」という流れで覚えると整理しやすいです。
低Na血症の問題は毎回出ますか?
電解質異常(特に低Na血症・高K血症)は他領域との絡みで出題されることが多く、頻度は高いです。SIADHは「体液量正常+尿Na高値+尿浸透圧高値」の組み合わせで一度覚えると忘れにくいです。