内科専門医試験 血液領域の対策|頻出テーマと効率的な勉強法
内科専門医試験の血液領域を徹底解説。貧血・白血病・リンパ腫・骨髄腫・止血凝固など頻出テーマの要点を整理。専攻医が効率よく得点するための血液学習法を紹介。
「血液は専門性が高くて他科の先生には難しい」「白血病とリンパ腫の種類が多すぎて整理できない」「貧血の鑑別はどこまで覚えれば合格できる?」
内科専門医試験において血液領域は、消化器・循環器・呼吸器ほど出題数は多くありませんが、貧血・凝固異常は他領域と絡む形で頻出 です。また、血液悪性腫瘍は「典型的な特徴の組み合わせ」で問われるため、効率よく覚えることができます。この記事では、血液領域で確実に点を取るための要点を解説します。
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血液領域の出題傾向と優先順位
血液領域は 貧血・凝固異常・血液悪性腫瘍 の3ブロックが出題の中心です。特に貧血は他領域の症例でも関連して出題されるため、内科医として必須の知識です。
貧血の鑑別
貧血の鑑別は MCV(平均赤血球容積)による分類 が試験の基本です。
MCV別の貧血鑑別
| MCV | 分類 | 代表疾患 |
|---|---|---|
| < 80fL(小球性) | 小球性低色素性 | 鉄欠乏性貧血・慢性疾患貧血(ACD)・サラセミア |
| 80〜100fL(正球性) | 正球性正色素性 | 再生不良性貧血・ACD・溶血性貧血・急性失血 |
| > 100fL(大球性) | 大球性 | VB12欠乏・葉酸欠乏・MDS・アルコール |
鉄欠乏性貧血 vs 慢性疾患貧血(ACD)の鑑別
| 検査 | IDA | ACD |
|---|---|---|
| 血清鉄 | 低下 | 低下 |
| TIBC(総鉄結合能) | 上昇 | 低下 |
| フェリチン | 低下(< 12ng/mL) | 正常〜上昇 |
| トランスフェリン飽和度 | 低下 | 低下 |
フェリチンは貯蔵鉄の指標で、フェリチン低下はIDAに特異的 です。ACDでは鉄は利用されないため貯蔵されます(フェリチン正常〜高値)。
溶血性貧血の診断
溶血の指標:LDH上昇、間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下、網赤血球増加。
AIHA(自己免疫性溶血性貧血): 温式(IgG型、直接クームス陽性、ステロイド有効)vs 冷式(IgM型、寒冷凝集素、低体温で悪化)
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血液悪性腫瘍の要点
多発性骨髄腫(MM)
多発性骨髄腫は血液領域で最も試験に出やすい疾患のひとつです。診断と治療開始の判断で重要なのがCRAB症状——高Calcium血症、Renal impairment(腎障害)、Anemia(貧血)、Bone lesion(溶骨性骨病変)の4つです。このうち1つ以上があれば治療開始のトリガーになります。
診断にはM蛋白の検出(血清蛋白電気泳動でM-peakを確認)と** 骨髄穿刺で形質細胞が10%以上**であることが基本です。CRAB症状がすべて揃わなくても、M蛋白+骨髄形質細胞増加があれば診断は可能です。試験では「M蛋白陽性だがCRABの一部しか該当しない→診断できるか」という形で問われることがあります。
治療はVRdレジメン(ボルテゾミブ+レナリドマイド+デキサメタゾン)が標準的で、65歳以下の適格例では自家末梢血幹細胞移植も検討されます。
慢性骨髄性白血病(CML)
CMLの最大の特徴はBCR-ABL融合遺伝子(Ph染色体:t(9;22))です。この遺伝子異常を標的としたTKI(チロシンキナーゼ阻害薬)——イマチニブ・ダサチニブ・ニロチニブなどが治療の柱で、TKI登場以前は移植しか根治的治療がなかった慢性期CMLの予後を劇的に改善しました。
試験で注意すべきは急性転化 です。慢性期から急性骨髄芽球性または急性リンパ芽球性に移行すると予後が急激に悪化します。「CMLの慢性期→加速期→急性転化」という病期の流れと、各期の特徴を区別しておいてください。
悪性リンパ腫(HL vs NHL)
| 特徴 | ホジキンリンパ腫(HL) | 非ホジキンリンパ腫(NHL) |
|---|---|---|
| 頻度 | 少ない(10〜20%) | 多い(80〜90%) |
| 好発年齢 | 若年(20〜30代)と60代以上の二峰性 | 中高年 |
| 組織所見 | Reed-Sternberg細胞 | 多様(B細胞性・T細胞性) |
| 進展 | 連続性(隣接リンパ節へ順次) | 非連続性 |
| 治療 | ABVD療法が標準 | R-CHOP(B細胞性NHL) |
凝固異常の要点
DIC(播種性血管内凝固症候群)
DICは 基礎疾患(感染症・悪性腫瘍・産科合併症等)に続発する 凝固・線溶の異常です。
診断: 血小板減少+PT延長+フィブリノゲン低下+FDP/Dダイマー上昇。日本救急医学会スコアで重症度評価。
治療: 基礎疾患の治療+FFP・血小板輸血(補充療法)、重症例に抗凝固薬(ヘパリン・トロンボモジュリン)。
ITPとTTPの鑑別
| 特徴 | ITP | TTP |
|---|---|---|
| 機序 | 血小板に対する自己抗体 | ADAMTS13欠損による血栓形成 |
| 血小板 | 低下 | 低下 |
| 貧血 | 通常なし | あり(MAHA) |
| 腎障害 | 通常なし | あり |
| 治療 | ステロイド・IVIg | 血漿交換(緊急)+ステロイド |
よくある失敗3パターン
❶ 鉄欠乏性貧血と慢性疾患に伴う貧血(ACD)をフェリチンで区別できない
両方とも血清鉄は低下 しますが、フェリチンの動きが逆です。IDA(鉄欠乏性貧血)ではフェリチン低下、ACD(慢性疾患に伴う貧血)ではフェリチン正常〜上昇します。ACDは慢性炎症でヘプシジンが増加し鉄の利用が阻害される病態です。試験では「血清鉄低値・フェリチン正常→ACDを考える」という判断が問われます。
❷ 多発性骨髄腫の診断でCRABの一つが欠けているだけで除外してしまう
CRAB症状(高Ca血症・腎障害・貧血・骨病変)は多発性骨髄腫の臓器障害の指標ですが、すべて揃わなくても診断できます。M蛋白の検出と骨髄形質細胞比率(≥10%)が診断の基本であり、CRAB症状は「治療開始のトリガー」と考えてください。
❸ TTPとITPの治療を混同する
TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)の治療は** 血漿交換が緊急の第一選択**で、血小板輸血は禁忌(血栓を助長)です。ITP(特発性血小板減少性紫斑病)はステロイドが第一選択で、重症例にはIVIgを使います。両者とも血小板減少ですが治療が全く異なるため、「TTP=血漿交換(血小板輸血禁忌)、ITP=ステロイド」を確実に区別してください。
iworの問題演習では、貧血の鑑別やDICの診断基準を実践的に練習できます。血液領域の5択問題で苦手をつぶしましょう。
まとめ
血液領域で効率よく得点するためのポイントを整理します。最優先は貧血のMCV分類とIDA vs ACDの鑑別(フェリチン)、** 多発性骨髄腫のCRAB症状+M蛋白+骨髄形質細胞**、DICの4指標(血小板・PT・フィブリノゲン・FDP)です。TTPとITPの治療の違い、CMLのPh染色体+TKI治療も確実に押さえてください。
他の領域の対策と合わせて学習計画を立てましょう。内科専門医試験の勉強法で全体戦略を、試験の出題傾向と対策で各領域の優先順位を確認できます。腎臓領域の対策や膠原病領域の対策と並行して進めると効率的です。
よくある質問(FAQ)
血液悪性腫瘍の種類が多くて覚えられません。どこから始めればいいですか?
多発性骨髄腫(CRAB症状)・CML(Ph染色体・TKI)・DLBCLなど代表的なNHL(R-CHOP)・ホジキンリンパ腫(Reed-Sternberg細胞・ABVD)の4つを確実に押さえれば、血液悪性腫瘍の試験問題の大半に対応できます。
DICの診断基準は完全に覚える必要がありますか?
4つの指標(血小板・PT・フィブリノゲン・FDP/Dダイマー)の方向性(すべて「悪い方向」に変化)を理解していれば、詳細なスコアを暗記しなくても問題を解けることが多いです。「消費性凝固障害+二次性線溶亢進」という病態の理解が優先です。
骨髄腫とリンパ腫はどうやって試験問題の中で区別しますか?
骨髄腫は「高齢者・骨痛・高Ca血症・腎障害・貧血の組み合わせ+血清蛋白異常」、リンパ腫は「リンパ節腫大・発熱・体重減少(B症状)+画像所見」が典型的な提示です。問題文にどちらの特徴的な要素が含まれているかで鑑別できます。